鼻先をツンっと高く、鼻筋をすっきりさせ洗練した鼻に
2018年から欧米を席巻するpreservation rhinoplastyも、2024年現在ではアメリカのDean M.Toriumiが唱えてきた鼻の構造的手術 structure rhinoplastyとの併用が主流となりhybrid rhinoplastyが世界の鼻整形の潮流となっています。
鼻が小さいアジアン、日本人は このhybrid rhinoplastyの良い適応であると考えます。
低い鼻先は構造的にツンっと高くし、 鼻筋は凸な部分はpreservation rhinoplastyで押し下げて、眉間など低い部分は組織を充填することで鼻筋を通す。
広い鼻幅に隆鼻術を行っても鼻が大きく全体のバランスを崩すことがあるので、鼻骨骨切り術で鼻筋をすっきりさせる。アジアン、日本人にあわせた鼻整形を提案します( Asian Rhinoplasty)。
組織を温存するpreservation rhinoplastyの手術展開を行うことで、術後のダウンタイムを軽減させ瘢痕のリスクを減らします。
またpreservation rhinoplastyを数多く執刀してきましたので、欧米人の鷲鼻修正(hump reduction)など大きな鼻を小さくするreduction rhinoplastyも得意としています。
鼻先をツンっと高く
1. 鼻中隔延長術
鼻の柱となる鼻中隔軟骨に軟骨を移植して鼻先の軟骨(大鼻翼軟骨)と固定することで 鼻先の高さと角度を矯正していきます。鼻が短い方は尾側方向(延長する)に、長い方は頭側方向に鼻先を矯正していきます。
Asian Rhinoplastyにおける鼻先の位置を決定するには非常に適した方法だと考えます。使用する移植軟骨は肋軟骨、鼻中隔軟骨です。
2. 鼻尖形成術
鼻先の軟骨を解剖学的な形にして(Cakirのpolygon concept)、軟骨を覆う皮膚、外鼻の形を形成していく方法です。
多くのAsianの鼻先は丸く抑揚のない形になっていることが多く、軟骨を折り曲げるように縫う縫合テクニックで教科書のような軟骨の形に矯正していきます。
3. 鼻尖軟骨移植
1や2の方法を用いても鼻先がもともと低い、短鼻のケースでは鼻筋にあわせた鼻先の高さ、長さ、角度が得られないことがあります。この場合は鼻先の頂点に軟骨や筋膜を移植することで鼻先の形を形成していきます。
軟骨を鼻先に闇雲に積み上げるように移植して鼻先の高さを出しても、洗練された印象を得にくいことが多いと感じています。
当院では軟骨移植の際も大鼻翼軟骨の解剖学的な形(polygon concept)を意識して行っております。使用する軟骨は耳介軟骨、鼻中隔軟骨、肋軟骨です。
鼻筋をすっきり
隆鼻術(プロテーゼ)
Asian noseにおいて鼻全体の低さが問題となることが多いです。
とくに眉間部が骨格にあった高さに形成されると鼻筋が通った印象になります。
プロテーゼは自分の組織を犠牲にしない有効な方法の一つです。当院では規制品のプロテーゼと患者さま一人一人にあわせたオーダーメイドのプロテ―ゼの両方を使い分けて鼻筋を形成していきます。
隆鼻術(自家組織)
プロテーゼに抵抗がある方、長期的経過が心配な方、自然な隆鼻を望まれる方は軟骨、筋膜移植による自家組織での隆鼻術を行います。
当院では多くの場合軟骨を細かく砕いて使用します。筋膜は肋軟骨を採取するときに腹直筋筋膜を採取したり、側頭部から筋膜を採取します。男性の場合、下着で隠れる位置で大腿筋膜を採取することもあります。
さらに鼻筋を強調したいケースでは鼻筋の高さに合わせておでこにヒアルロン酸や脂肪注入をおすすめすることがあります。
鷲鼻修正
大きな鼻を小さくする手術の一つです。従来は突出した鼻骨部、軟骨部を切り取るopen roof法がとられていましたが、近年はpreservation rhinoplastyの概念を用いて、屋根の部分の鼻骨は骨切り術で柱の部分は鼻中隔軟骨を中抜きすることで鼻全体を押し下げるような方法で鷲鼻修正を行っています。この方法は鼻幅が細くなる利点もあります。
Asian noseでの注意点は、鷲鼻があるけれど眉間が低いケースがあることです。
この場合はプロテーゼなどで突出部をマスクする方法もありますが、鼻全体が大きくなって、ぼやけた印象を与えます。当科では多くの症例で鷲鼻修正を行ったうえで眉間部を高くするような隆鼻術を行います。
鼻骨骨切り術
Asian noseは、鼻がベターっと広がっていることがあります。鼻骨骨切りで鼻幅を狭くし、鼻筋を形成することが可能です。
隆鼻術を併用することで鼻筋を強調することもできます。鼻骨骨切りは外側骨切り、内側骨切り、トランスバース骨切りなど現在は多種多様な方法があります。
外側骨切りは当院では、鼻の中から行います。鼻の中から行うことで、外から経皮的に行うよりも確実な骨切りが行えます。鼻手術を受けられる方は全例でCT画像検査を行っていただきます。
CT画像を検証しながら希望に沿うような骨切り方法を行っています。
小鼻をすっきり
鼻翼縮小術
鼻先、鼻筋を形成した後、小鼻の形が気になることがあります。この場合は鼻翼縮小術を行います。小鼻の外側と内側を切り取って回転、前進などdynamicに小鼻の形を矯正していきます。
鼻先、鼻筋の形をみながら切除部位を決定するので当院では内側、外側とわけることなく一連の手術として行います。
鼻孔縁形成術
鼻先、鼻筋を形成した後、小鼻の垂れ下がりが気になることがあります。この場合は小鼻の皮膚を縦方向に切除することがあります。この方法は横顔の形成に有効であると考えます。
小鼻が切りあがってみえてしまう場合は、耳介の皮膚と軟骨を鼻の中に移植して小鼻を下げる手術を行います。
鼻の土台を持ち上げる
Asian noseは鼻中隔延長を行っても、骨格の問題からどうしても陥没感が残存することがあります。その場合はいわゆる猫、貴族手術と呼ばれる方法で鼻を土台から持ち上げる方法を選択することがあります。
鼻柱基部に組織移植
鼻柱基部の皮下に砕いた軟骨を注入する方法が一般的です。
鼻部切開線から注入します。当院では鼻中隔延長術にあわせて鼻中隔軟骨部に軟骨を縫着することで、前鼻棘部を押し上げる方法も良く行います。注入よりも術後の結果が予測しやすくシャープに持ち上がる印象です。
鼻翼基部に組織移植
多くは鼻内に切開を加えて小鼻の基部を持ち上げていきます。
当院では鼻骨骨切りを鼻内から行うことがほとんどですので、骨切りケースでは、その切開線から注入していきます。
鼻手術後の修正術
昨今、本邦でも鼻整形を受けられている方が増えています。それに比例して修正術を希望される患者さまも増加しています。
修正術は、手術によって変形が生じたケースと手術を受けたが希望した形にならなかったケースなどがあります。
鼻の再手術は、受けられた手術の程度や手術侵襲の具合や感染などで、その難しさが変わると考えます。
当院は 機能的な鼻再建術を行っておりますので、構造から破綻している重度なケースにも 対応します。再建方法は多岐にわたりますが、大きく形を変える必要がある場合は肋軟骨を使用することが多いです。
感染などで鼻が拘縮したケースでは先ず皮膚の状態を改善させてから再建術を行う必要があることがあります。
鼻部ヒアルロン酸注入
手術に抵抗のある方や先ずは注入などでシミュレーションしたい方はヒアルロン酸注入(鼻ヒアル、鼻先ヒアル)を行います。
鼻先部をヒアルロン酸で形成することで従来の注入方法よりも安全で効果的な形成術(liquid rhinoplasty)が可能となりました。
従来、鼻先へのヒアルロン酸注入は危険とされてきましたが、当院は大鼻翼軟骨と鼻中隔軟骨の間の膜性鼻中隔部へ注入を行い、鼻先を持ち上げます。
鼻筋を高くしたいケースでは軟骨膜上、骨膜上に注入することで、安全に鼻筋を形成することが可能です。ヒアルロン酸は吸収されますので効果は永続的でなく、継続的に注入を受ける必要があります。
経過と注意点
術後鼻に血抜きの管(ドレーン)を入れることがあります。抜去するタイミングは手術内容によって異なります。鼻の中に鼻中隔血腫予防にシリコン板を入れることがあります。
また骨切りを行った場合は外鼻にギプスを当てます。
これらは1週間後の抜糸時に抜去します。 術後は手術の腫れとドレーン、シリコン板などが鼻の中に入るため鼻づまり感が抜糸までの期間ひどくなります。抜糸時に、これらは抜去するので大幅に改善します。
手術の腫れが1ヶ月ぐらいで徐々に改善するのでそれに合わせて鼻づまりが良くなってくることが多いです。
見た目の腫れは術後2週間ぐらいで大分ひいてきます。ギプスは術後1週間は終日着用していただきます。
その後の1週間は就寝時のみつけていただきます。症例によっては、レティナという鼻の穴にいれる装具をつけていただきます。 鼻かみは術後1ヶ月は禁止です。鼻うがい器、鼻うがい剤で鼻内を洗浄することを推奨します。
出血
鼻中隔部に血腫を形成することがあります。
処置しないと感染の原因となり、矯正した鼻部の変形を来すことがあります。
感染
鼻の中は空気の通り道であり、細菌に暴露されながら手術をしているといえます。
多くの場合は感染することはありませんが複数回手術をしているケースや喫煙、副鼻腔炎や虫歯を合併しているケース、術後に鼻の硬さや違和感が気になって綿棒や手などで頻回に患部を触ってしまっているケースでは、感染することがあります。
処置を行うことで感染を最小限にして変形を食い止めることが出来るケースもございますが、大きく変形してしまう場合がございます。
偏位
鼻の整形手術は元の形から形を変えていく矯正手術です。
術後に曲がってしまったりするケースもあります。また矯正により鼻の硬さによる疼痛、違和感を自覚する方もいらっしゃいます。
鼻は、どの程度の手術でも手術前よりは硬くなることをご理解いただくことが手術をうける上では重要です。
イメージの相違
患者さまと術者の術後イメージの相違がおきることがあります。
イメージの乖離を防ぐためにVECTRAⓇというカメラとシミュレーションソフトを用いた術前診察をご希望に応じて(注;別途料金がかかります。)行います。
鼻を触診しながらソフト上でなるべく実現可能な鼻を作製します。
実際の手術では軟骨の大きさ、強度、皮膚の厚さ、伸展具合で結果が左右することがあります。
シミュレーションはあくまでも資料の一つであると考えています。カウンセリング時にもそのようにお話しさせていただきます。
当院では、海外の著名な鼻手術の名医と密に情報交換をしながら 患者さまに最適な外鼻の形態を提供できるよう手術を行っています。