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皮膚悪性腫瘍と再建

南国鹿児島は紫外線が強く、鹿児島市立病院に赴任中は多くの皮膚がんの患者さまの治療にあたりました。
また、東京女子医科大学足立医療センターでは皮膚科の前教授である田中勝先生がダーモスコピーの権威であることから、多くの皮膚がんの患者さまをご紹介いただき治療を行いました。

形成外科として皮膚がんの治療で大事なことは以下であると考えます。

  • 病巣をしっかり切除する技術
  • 機能、整容を配慮した再建技術

当院は顔面の形成外科を得意としております。顔面の皮膚がんは患者さまの整容的憂慮も大きいです。
病巣をしっかり取り切る技術と機能と整容に配慮した形成外科手術で患者さまに寄り添った皮膚がん治療を目指します。

代表的な皮膚がんの種類

基底細胞癌

皮膚の上皮から発生する皮膚悪性腫瘍です。皮膚悪性腫瘍の中で最も頻度が高く、悪性度が低い癌といわれています。中年以降、顔面の正中に多く発生します。転移は稀でありますが、放置するとしばしば潰瘍化し出血を伴います。時に組織破壊性の強いタイプもあります。顔面に好発することから機能、整容面に配慮した手術が必要となります。

扁平上皮癌 (有棘細胞癌)

基底細胞癌につづく頻度の皮膚悪性腫瘍です。瘢痕や、ボーエン病、日光角化症といった前癌病変のうえに発生することがあります。露出部に多く発生するといわれ、進行すると隆起性の腫瘤や潰瘍を形成し、リンパ節やほかの臓器に転移することがあります。当院では提携皮膚科専門医と相談し治療を行います。リンパ節転移など切除以外の治療方法が必要な場合は大学病院などにご紹介となります。

ボーエン病

皮膚の表皮に生じる癌です。進行すると深く浸潤することがあります。初期であれば切除することで根治することがほとんどです。

悪性黒色腫

皮膚のメラニン色素を産出するメラノサイトが癌化したものです。リンパや血液の流れに乗って転移しやすい腫瘍です。ほくろとの鑑別が重要であり、疑わしいものは提携する皮膚科へご紹介いたします。

経過と注意点

皮膚腫瘍で皮膚悪性腫瘍が疑われる場合は、提携皮膚科と相談し治療方針を決定します。入院や切除以外の治療が必要な場合は大学病院などへ紹介いたします。
皮膚科で切除範囲を決定していただき腫瘍を切除します。縫縮が可能な場合はそのまま縫合閉鎖します。不可能な場合は人工真皮という組織が乾燥しにくいシールのような被覆材で創部を覆います。病理結果を確認し、創閉鎖を行います。創閉鎖の方法は、整容と機能、創部の状態にあわせて植皮術や皮弁術などを決定します。抜糸は1週間から2週間で行います。その後は皮膚科と連携し再発がないこと、整容機能面を考慮して経過フォローしていきます。病理結果によっては再度切除が必要となる場合があります。再建後も修正術が必要となることがあります。悪性腫瘍を取り切ることが重要であり、欠損の状態によっては機能や整容面で術前よりも大きく変わってしまう場合があります。

顔面の皮膚腫瘍切除後の機能、整容面でのご相談
多くの顔面皮膚悪性腫瘍の再建術を行ってまいりました。当院は美容外科手術にも精通しており、腫瘍切除後の機能整容面での改善の手助けができるかもしれません。是非一度ご相談ください。