陥入爪とは、爪の端が皮膚に食い込んで痛みや腫れ、化膿を引き起こす状態です。
一方、巻き爪とは、爪の両端が爪の下の皮膚を巻き込むように巻いてしまう状態です。どちらも足の親指に多く見られ、合併することも珍しくありません。
陥入爪や巻き爪があると、痛みをかばうと歩き方が悪くなったり、体重を支えられなくなって歩行に悪影響を与えたりします。
その結果、腰や膝まで痛くなることもあります。
巻き爪・陥入爪になる原因
巻き爪に悩む方はおよそ10人に1人いるとされています。特に、女性に多い傾向があります。巻き爪の原因は下記の通りです。
- 爪の切り方が間違っている
- 足指に負荷をかけない歩き方をしている
- 足に合わない靴を履いている
また、爪白癬(爪水虫)などの爪疾患や、飲んでいる薬が原因になることもあります。
爪の切り方が間違っている
代表的な原因として、爪を短く切りすぎている(深爪)ことが挙げられます。
深爪になると爪の両端が皮膚に埋まってしまい、さらに負荷が強くなります。それによって爪が巻きやすくなる力を強め、巻き爪を引き起こします。爪を切る際は、爪の端を斜めに深く切らないように注意しましょう。
足指に負荷をかけない歩き方をしている
巻き爪は、歩く時に足指が地面に触れない方や、寝たきりの方に多い症状です。爪は元々丸くなりやすい性質をしていますが、歩く時に地面からの力がかかるため、平らになります。
しかし、地面からの力がかからないままでいると、爪が巻いてしまいます。
また、足の親指が内側または外側に曲がっていると、力のバランスが悪くなり、さらに巻き爪になりやすくなります。
歩く時は、親指が真っ直ぐに出るように意識しましょう。毎日、適度な運動をして、足の指にある程度の負荷をかけることが大切です。
足に合わない靴を履いている
実際に、ヒールのある靴や足先の細い靴をよく履く女性は、巻き爪になる傾向が強いです。これらの靴は例えサイズが合っていたとしても、足指に悪影響を与えます。靴の先が細いと足幅が狭くなるため、足の指が側面から圧迫され、爪が皮膚に食い込みやすくなります。
さらに、ヒールがあると足の先端に荷重がかかるため、さらに爪が巻きやすくなります。
また、靴のサイズが大きすぎると、足指が靴の中で常に動いてしまうため、ますます歩きにくくなります。その結果、つま先にかかる負荷が大きくなり、足指と爪の負荷のバランスが悪くなります。
さらに、外反母趾がある場合は、隣の指に押されるので巻き爪になるリスクが高まります。
靴を選ぶ時は足の長さだけでなく、足幅もきちんとチェックしましょう。
治療
痛みや炎症などの症状を伴っていない場合は、後に紹介するケア方法を行いながら様子を見ても問題ありません。しかし、爪が皮膚に刺さって食い込んでいる、痛みや腫れ、化膿などの症状がある陥入爪の場合、放置は禁物です。
陥入爪を放っておくと、不良肉芽(炎症によって肉が盛り上がる状態)になるリスクが高まります。自然治癒されることはなく、そのままにすると出血を起こして日常生活に悪影響を及ぼします。なお、巻き爪になっていない爪でも陥入爪になるケースはあります。
両方とも、治療法につきましては共通する点も多くあります。
テーピング法
テーピング法は、ご自宅内でも行える簡単な治療法です。伸びるテープを2×。
コットンパッキング
コットンパッキングも、ご自宅内でできる治療法の1つです。これは、爪と皮膚の間に綿を入れて、爪を上に持ち上げる方法です。これにより、皮膚が爪に食い込まれるのを防いでいきます。
爪が深く食い込んでいる場合は、テーピング法と併用して治療効果を高めていきます。
ガター法
爪が皮膚に深く刺さり、炎症によって不良肉芽になったケースに極めて有効とされています。
まずは局所麻酔をしてから、専用の器具を使って爪の刺さっている部分を少し剥がします。そして、柔らかいチューブを半分に切り、爪と皮膚の間に差し込んでから接着剤で固定します。その時に不良肉芽ができている場合は、チューブを入れる前に切除する必要があります。
なお、この治療法は陥入爪の治療法であり、巻き爪を改善させる方法ではありません。
爪床骨膜弁法
両側の側爪郭に切開を行い、中央側の切開を延長して爪母の曲がっている部分を切除します。
その後、骨ヤスリを使用して末節骨の骨棘を削り、末節骨の背側を平らに整えます。
最後に、側爪郭の皮膚を幅約2~3mmで剥離し、その上に双茎爪床骨膜皮弁を両側に開いて縫合します。
日常生活で気を付けていただきたいこと
巻き爪や陥入爪を予防するには、「正しい爪の切り方」が重要です。爪は、皮膚とくっついている部分から1mmぐらい伸ばし、先を真っ直ぐに、両端を少し丸めになるよう切りましょう。爪を深く切りすぎたり斜めに切ったりすると、さらに爪が巻いたり食い込んだりしてしまいます。
また、靴は、足の長さ・幅・つま先の形などが合ったものを選びましょう。ヒールのある靴をどうしても履きたい時は、「履きたい会場だけで履き、行き帰り時には歩きやすい靴に変える」という方法をお勧めします。
歩く時は、つま先を正面に向けて、踵から着地して、親指でしっかりと押し出すようにしましょう。毎日適度に歩いたり運動したりすると、足指の先に程よく負荷がかかるようになります。
そのバランスにより、爪を巻こうとする力を抑えることができます。
正しい爪の切り方や靴の選び方、歩き方などを守りながら、大事な爪をケアしていきましょう。