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外鼻変形・鼻中隔弯曲症

  • 外傷後の外鼻変形で生じた鼻閉 
  • 鼻弁狭窄に伴う鼻閉
  • 鼻中隔矯正術後も解消されない鼻閉
  • 陳旧性鼻骨骨折

などが治療の対象です。

当院の特徴

  • 形成外科単独で行う鼻中隔外鼻形成術
  • 内視鏡を使用した鼻中隔形成術
  • 骨と軟骨を包括的に再建

鼻づまり(鼻閉)の原因のひとつに鼻中隔弯曲症があり、鼻の柱である鼻中隔が曲がることで鼻の中が狭くなり鼻づまり感を生じる病態があります。
曲がりがひどい場合は鼻中隔矯正術という曲がった鼻中隔部分を切り取ることで鼻の中を広げて、鼻呼吸を行ったときの空気の通り道の障害を解除する方法があります。鼻中隔矯正術は、日本では耳鼻咽喉科で行われてきました。
見た目の鼻(外鼻)がけがなどの外傷で曲がることも鼻づまりの原因となります。これまで外鼻の曲がり(斜鼻変形)は、主に形成外科で鼻骨骨切り術が行われてきました。

従来の鼻中隔矯正術・
鼻骨骨切り術の問題点

外鼻は上1/3が鼻骨で下2/3が軟骨で形成されています。鼻中隔形成術は曲がっている部分を切除する方法ですが、曲がっている部分が外鼻を形成する柱や屋根の部分まで及んでいると、その部分(前弯、上弯)の再建を行わずに切除すると構造上破綻が生じて手術後に鼻が曲がったり、凹んだりする合併症をきたし、せっかく手術をしたのに鼻づまりが改善しないことがあります。
逆に屋根や柱の部分の曲がりを治さないで、壁の部分の曲がりだけを切除しても、同様に構造的に弱くなり鼻の変形を来したり、鼻づまりが悪化したりすることがあります。
また骨部分から曲がったり凹んだりしている場合は、鼻中隔を治しても見た目や機能の改善が得られないことがありました。
斜鼻変形に対して鼻骨骨切り術だけを行っても、それを支える鼻中隔を再建しないと斜鼻変形や鼻閉の改善が得られないことがありました。

鼻中隔外鼻形成術

鼻中隔外鼻形成術は従来の鼻中隔矯正術では治療が難しかった鼻中隔の柱と屋根(前弯、上弯)の治療が対象の一つです。
外鼻の屋根と柱の長さを揃えたり、鼻の中(鼻中隔軟骨、篩骨)の組織や肋軟骨を採取して、柱や屋根を強くしたりするなどの方法で鼻中隔部分を真っ直ぐにしていきます。骨が曲がっている場合は鼻骨骨切り術を行って骨を真っ直ぐにすることを追加していきます。 鼻中隔外鼻形成術は、本邦では鼻中隔部の展開や曲がった組織の切除を耳鼻咽喉科、鼻の構造手術を形成外科と分担して行うことが多いですが、当院ではすべてを一人の術者で行います。
鼻中隔外鼻形成術は2018年のアメリカのダニエルが発表したPreservation rhinoplasty以降大きく変化を遂げています。その中のDorsal preservation rhinoplastyには、曲がった鼻の治療があります。
これは、骨と軟骨を一括りに治療していく新しいコンセプトで、分担して行うことが難しい手術です。2019年からこの方法を導入して数百例の手術の執刀をしてまいりました。
また学会でも多く講演し、日々新しい知識の狩猟に努め、技術の向上に努めております。 分担しないことで手術時間を短縮できる、機能から整容まで一括りの治療できる、日帰り手術が可能など患者さまに非常にメリットの大きい治療方法です。 手術の多くがオープンライノプラスティーといって、鼻柱部を切開して、外鼻の構造物をしっかり展開しながら行います。外傷や先天性の変形症例では、鼻先の大鼻翼軟骨も変形し鼻の通り道の入り口が狭くなっていることも多く、その部位(外鼻弁)の再建を行います。
中1/3は外側鼻軟骨、鼻中隔軟骨といった中央部の屋根と柱の再建です。柱を補強したり、たわんだ組織を切除してバランスをとることで鼻の正中化を図ります。上1/3は鼻骨部です。
斜鼻がある場合は骨切りを行います。左右の鼻骨の長さを揃えるように骨を切っていきます。中央部と骨部は密に連絡していますので、これらは一塊に再建することで安全で長期的に安定した結果が得られます。
曲がった部分はたわんだ部分を切除して長さのバランスをとることで正中化を図りますが、構造の強度を得るための補強として軟骨移植を行うことがあります。
使用する軟骨は切除した鼻中隔軟骨や骨(篩骨)ですが、変形が高度な場合は多くの材料が必要となるので肋軟骨や耳介軟骨を採取することもあります。

Corporeal septoplasty

鼻中隔の弯曲が高度であり、上記の方法での治療が困難な場合はCorporeal septoplastyで治療を行います。鼻中隔のほとんどを切除して肋軟骨を用いて新たな鼻中隔を作製する方法です。
Preservation rhinoplastyを導入以降は同手術方法の適応は減りましたが、重度外傷後変形など必要となるケースもあります。

鼻中隔外鼻形成術の経過

鼻に血抜きの管(ドレーン)を入れることがあります。抜去するタイミングは手術内容によって変更しています。鼻の中に鼻中隔血腫予防にシリコン板を入れることがあります。骨切りを行った場合は外鼻にギプスを当てます。
これらは1週間後の抜糸時に抜去します。 術後は手術の腫れとドレーン、シリコン板などが鼻の中に入るため鼻づまり感が抜糸までは術前よりもひどくなります。抜糸時に、これらは抜去するので大幅に改善します。
手術の腫れが1ヶ月ぐらいで徐々に鼻づまりが改善するのでそれに合わせてよくなってくることが多いです。見た目の腫れは術後2週間ぐらいで大分ひいてきます。ギプスは術後1週間は終日着用していただきます。
その後の1週間は就寝時のみつけていただきます。
症例によっては、レティナという鼻の穴にいれる装具をつけていただきます。 鼻かみは術後1ヶ月は禁止です。鼻うがい器、鼻うがい剤で鼻内を洗浄することを推奨します。

鼻中隔外鼻形成の注意点

多かれ少なかれ外鼻の形態は変化します。 真っすぐにするといった矯正の要素も強いので術後は術前よりも鼻全体が硬くなります。
機能改善を第一にした保険診療ですので外鼻の要望が主体の場合は自費診療となります。 原則、紹介状が必要です。 鼻中隔外鼻形成術は見た目を真っ直ぐに鼻の中を真っ直ぐにする手術です。
骨や軟骨の状態によっては完全に真っすぐにすることが困難な場合もあります。 鼻の軸と咬合の軸がずれている場合は、曲がりを残して矯正を行うこともあります。
鼻づまりは外鼻の変形や鼻中隔弯曲だけでなくアレルギー、鼻弁閉塞やエンプティーノーズなど多岐にわたります。手術後に鼻閉感が継続する可能性があります。